Quipper組織変更と41歳CTOの今後

10th Jun, 2017 | quipper

最近、自分自身に関わる人事で大きな変更があった。久しぶりにブログを書いてみる。

結論から言うと、先月まで、プロダクト、開発組織、技術の3つを担当していたのだが、プロダクトと開発組織を完全に移譲することになった。

その結果、自分のレポートラインとしては移譲した人だけが部下という形になった。Quipperを始めた6年半前、最初のエンジニアに入ってもらって以来の少なさだ。これは自分としてはなかなか大きな変化である。

振り返ってみると、Quipperが始まってから6年半、Web/アプリ事業会社のCo-founder/CTO としてありがちなコースを歩んできた(最初はタイトル的にはCTOではなかったけど)。初期はとにかくコードを自分でがりがり書き、サーバーの面倒も見るし、とにかく何でもやるエンジニア。そして組織の拡大とともに段々とコードを書く時間が減っていくというやつだ。

特にリクルートグループ入りした2年前からはスポットでコードを書くことはあっても、日常業務としてコードを書く時間はほぼゼロになってしまった。これは別にリクルート流のマネージメントをしなくてならなくなってそっちが忙しくなった、とかではなくて、そのタイミングで大きなプロジェクトが始まったり、採用を強化して、自分が書かなくてもパワー的に問題ない状態になったことと、組織/システムの規模がどんどん大きくなり片手間ではシステム全体を見きれない中、中途半端な形で手を出すのは良くないだろうというところからだ。

そんな感じで、技術をあまりやらず、組織、プロダクトに集中しているつもりだったのだが、それはそれで問題が出てきた。

現在、Quipperが展開しているメインな国というのは日本、インドネシア、フィリピン等のアジアの国々だ。また、最近はネットで完結するようなビジネスだけではなく、現地に根付いたこともどんどん増えてきた。

そんな中、日々現地で様々なことが起こる。そして、ロンドンとの時差は辛い。色々なことが自分が寝ている間に起き、みんなが困っている頃に自分が起きてくる、というどうにも悩ましい感じが続いていた。朝起きると、Slackのたくさんの部屋やプライベートチャットでメンションされている、みたいな状況だ。どうしても後手後手になってしまう。

一方で、技術方面も、短期的には問題なくても、中長期で問題になりそうなことがいくつか出てきていた。

元々の3つの担当のうち「技術」が一番できていなかった。技術から遠ざかっているCTOという感じだ。日々の開発では優秀なエンジニアがたくさんいるし、自分が時間をかけなくとも「回る」のが技術だったというのがあった。そもそも普段コード書いてないやつが「技術」だと振り回しても誰もついて来てくれる気がしなかったし。

技術側の課題感としては、一つは、みんな大嫌い「技術的負債」である。Quipperのベースシステムはそれなりに古い。ビジネス的なピボットを何度か繰り返す中、今となっては意味をなさないコードもたくさん残っている。今すぐ作り直さないと死ぬというレベルではないが、そろそろ大きく手を入れないと2年後3年後やばそうだという感じはある。自分が中心になって作ってきた「負債」であるという認識もあるので、しっかり責任を持って返していきたいというのもある。また、開発者が増えたこともあり、また、プロダクト/サービスの方向性が固まってきた今、中長期で技術的にどういう方向に行くのか、というのをしっかり技術トップとして打ち出していく必要があるというのも強く感じ始めたというのもある。

もう一つは、自分がそういう文化を作ってきたのだが、技術的に新しいことや面白そうなことをするよりも、とにかくサービスに集中するというのを第一にしてきた。「会社」なので、まずビジネスとして成立しないと話にならないと思ってきたからだ。だが、そろそろ会社のフェーズ的にもちょっとだけ遊び心、またエンジニアの成長、そしてまたそれが会社にとって大きなジャンプにつながるようなこともやってもいいという文化にしていくべきなのかなと思うようになってきた。そっちに向かうときに一番の敵になりそうなのは自分が作ってきた文化なのはちょっと面白い。

そんな感じで、プロダクト、組織が後手後手になってしまいパフォーマンスが出せてなく、他方で技術方面も中長期でまずそうだというこの状況をなんとかするために、少し前から部分的に移譲していきたいとCEOや経営陣と話していた。ただ、それなりに大きな体制変更なのですぐには変えられないようなあと思ってはいたのだが、そこはなかなかのスピード感のQuipper(&みんななんとなくそう思っていたのだろう)、色々なところが動き出し、あっと言う間に体制変更が終わった。

色々議論した結果「プロダクト」「開発組織」「技術」のうちの「プロダクト」「開発組織」を移譲することになった。つまり、残るは「技術」だけになった。なかなかいいストーリーだ。結果的に、よくあるCTO / VP of Engineering 体制に近い体制だ。ただ、移譲先の人には、開発組織だけでなくプロダクト開発組織全体も任せてしまったのでVP of Productということになった。VP of Engineeringも内包しているイメージだ。

そんなわけで自分自身は技術に集中することになった。とは言え、繰り返しになるが、ここ2年くらいまともにコードを書いてないし、トレンドを必死に追いかけていたわけでもないし、自分自身に大きなプレッシャーを与えた感じになっている。組織だ、採用だーとかの自分の中での言い訳もできなくなってしまったし!

とりあえずR&D(仮称)という組織を作った。と言ってもとりあえずメンバーは自分だけ。わりと急に色々なことが決まったので具体的に何をするかはまだ決めていない。まずは現状の再確認をしているところだ。どういう形がQuipperに一番フィットするのかまだよくわかっていないので、色々試行錯誤しながら進めていきたいと思っている。

また、組織(people)マネージメントから離れたことで、自由にできることもあると思っていて、直接マネージメントしているとできないような、ちょっと離れたことで逆に開発組織が活性化するようなことができていけたらなあと思っている。

最後になるが、最初に付けたタイトルは「Quipper組織変更と41歳CTOの生存戦略」だったんだけど恥ずかしくなって変えた。最近流行りのエンジニアの生存戦略だが、今まであんまりそんなことを考えたことがない。あえて言うと、あまり先のことを考えずに目の前の流れに乗ることと、また組織(会社)のために自分がすると効率がいいことを見つけてするということが結果として自分の生存戦略なのかなあとは思うことはある。これを社畜というのかな? 今回もそんな感じであまり自分の生存戦略という観点では考えてなかったのだけど、後付けで自分のキャリア(生存戦略)とつなげて考えてみると、このぐらいの規模の組織を作ってから同じ会社で技術に戻る、というのはなかなかいいキャリアなのでは? という感じがしている。組織/マネージメントに行ったきり開発に戻ってこない人が多い中、俺は違う!!と思うところはある。そもそもやっぱりコード書いている方が好きだし。もちろんどういう結果を出せるか、というのが大事なんだけども。

そんなわけで社外に出すことでさらに自分にプレッシャーをかけるためにも久しぶりにブログで現状報告してみました。